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ー保温工事には4種類ある!施行目的と使用する保温材について解説ー

保温工事とは、配管・ダクト・ボイラーなどの設備から熱放散をなるべく防ぐため、保温材や板金などを取り付ける工事のことです。工事を施す場所に応じて、工事の種類や使用する保温材を適切に選択する必要があります。

保温工事は普段生活していてなかなか目にする機会の少ないものです。しかし、工場や学校などの施設において、保温工事を行うことで建物内を一定の温度に保ったり省エネルギー対策になったりと、その役割は重要といえます。

本記事では、保温工事を行う目的とその種類、使用する保温材の特徴を解説します。合わせて、保温工におすすめな資格なども紹介するので、保温工に興味のある人は参考にしてください。

 

保温工事とは

保温工事とは、配管やダクトなどの設備に、グラスウールやロックウールと呼ばれる保温材を取り付けることで、熱放散を防ぎ、設備内や建物内の温度を一定に保つために行われる工事です。

配管の中には、熱水やガス、蒸気などが流れています。保温工事を行わなければ、配管から熱が放散され、内部に流れる物質の温度が下がったり、配管外部が高熱になってしまったりします。

保温工事を施すことで、配管に流れる物質の温度を一定に保った状態で目的地まで運搬できるだけでなく、配管外部の熱によるやけど防止も可能です。

さらに、熱エネルギーの発散を抑えることでの省エネやコストカットという役割もあります。また、保温工事で配管との温度差によって生じる結露を防止でき、結果的に設備の劣化や故障を防ぐという効果も。

このようにさまざまな役割のある保温工事は、下記のような場所で行われています。

  • 学校
  • 介護施設
  • マンション
  • ショッピング施設
  • 工場

身近にある施設で保温工事が行われているおかげで、建物内が快適な温度に保たれたり設備の劣化を防いだりすることにつながっているのです。

 

保温工事の種類は4つ

保温工事は細かく分類すると4つに分けられます。どの工事も似た内容ですが、それぞれ特徴があり、施工される場所や状況に応じて選択します。

 

保温板金工事

保温板金工事とは、配管などに施した保温材をカバーするため板金工事を行うことです。カラー鋼板やステンレス、アルミなどの薄い金属板を巻いて保温材を保護する工事で、ラッキングと呼ばれることもあります。

断熱効果だけでなく、保温性と防水性に優れているため、雨風や紫外線などによる保温材・配管の劣化を防ぐのも役割のひとつです。

主に、発電所や工場などのプラントにおいて選択されやすい傾向にあります。保温板金工事を行う場合は、板金工事の技術も必要なため、保温工ではなくラッキング技術を持った板金工が作業する場合がほとんどです。

 

保温保冷工事

常温以下の状態を維持するための工事のことを保冷工事と呼びます。配管やダクト内の熱や冷気を逃がさないよう、熱伝導率の低い材料を取り付けるのが基本的な工事内容です。

熱伝導を少なくすることで電気や燃料などのエネルギーを必要以上に消費しないので、二酸化炭素の排出削減の効果もあります。また、配管など設備の温度変化を防ぎ、結露を予防することも可能です。

施工される場所は、火力発電所や原子力発電所、石油化学工場などさまざまです。保冷工事の場合は結露に備えて湿気に強いポリスチレンフォーム、保温工事では比較的安価なグラスウールが使用される傾向にあります。

 

断熱工事

断熱工事の目的は、保温工事と同様で、熱放散を防ぐことです。保温工事は大規模な工場を対象とする場合がほとんどですが、断熱工事は一般的に住宅の壁や天井などに断熱材を施す工事になります。

 

熱絶縁工事

保温・保冷工事の正式名称が熱絶縁工事です。建設業許可のときや官公庁に関する仕事の場合、公的な名称として使用されます。

 

保温工事で使用する主な保温材

保温工事において重要になるのが、保温材の選択です。保温材はそれぞれ特徴があり、適切な場所に使用することで効果を発揮します。

 

グラスウール

グラスウールとは、人造鉱物繊維保温材の一種で、低価格な保温材です。主にリサイクルガラスが原料で不燃性は高めですが、加熱による収縮が起きやすいのがデメリットといえます。

耐熱温度は約200度と中程度でロックウールに比べると弱いですが、配管やダクトに広く使用される代表的な保温材です。種類が多く、目的に応じて適した製品を選択できるのもグラスウールのメリットといえます。

 

ロックウール

ロックウールもグラスウールと同様に人造鉱物繊維保温材の一種です。安山岩などの岩石が原料のため、グラスウールに比べて耐熱温度が約600度と高く、保温材としてだけではなく、耐火・防火にも使用できます。

高温でも変形しにくい性質を活かして、工場などのプラントでの使用頻度が高めです。ただし、変形しにくいがゆえに、隙間なく施工しなければ保温効果が落ちてしまうというデメリットも。また、ロックウールが皮膚に付着すると被れる場合があるので、施工時には手袋装着などの対策が必要です。

 

ケイ酸カルシウム

ケイ酸カルシウムは無機多孔質保温材の一種で、珪藻土と石灰を混ぜ合わせた保温材です。熱伝導率がさまざまある保温材のなかでも低い部類に入り、耐熱温度も製品によっては約900度まで耐えられるものもあります。

さらに難燃性が高く低価格とメリットが多いため、幅広く使用される代表的な保温材です。ただし、吸水性が高いため、結露が発生しやすい場所には適していません。

 

ポリスチレンフォーム

ポリスチレンフォームは発泡プラスチック保温材の一種です。いわゆる発泡スチロールのことで、発泡プラスチック保温材のなかでは安価なため、以前は工場などで多く使用されていました。

しかし、耐熱性が低く石油系溶剤に触れると溶けてしまうというデメリットから、最近ではプラントの保温材としてはほとんど使用されていません。ただし、繊維系の保温材と違い、水を吸収しにくいため、結露の危険性が高い配管にはグラスウールやロックウールよりポリスチレンフォームを使用する傾向にあります。

 

保温工にとっておすすめな資格

保温工には必ずしも資格が必要ではありません。未経験でも資格支援制度などが充実しており、スキルアップが見込める職業です。

保温工としてさらに技術を向上させたいなら、熱絶縁施工技能士の資格取得を目指すとよいでしょう。熱絶縁施工技能士は厚生労働省が認める国家資格です。

大規模な保温工事において常駐が義務づけられたり建設業許可の熱絶縁工事で専任技術者になったりできる、建設業工事にとって有利な資格といえます。

 

まとめ

保温工事には4種類の呼び方があります。また、施工場所や状況に応じて保温材を選択することが重要です。適切な保温材を選ぶことは、工事の目的でもある、配管など設備からの熱放散を防ぐ効果が期待できます。

日常生活のなかで直接目に触れる機会は少ないですが、普段利用するショッピング施設や学校など、意外と身近な場所にも保温工事は施されています。施設内の快適な温度の保持や設備劣化の防止など、保温工事がもたらす役割は大きいです。

未経験からでも活躍できる業界であり、スキルアップとして国家資格を取得するとさらに手に職をつけられるため、将来性のある職業といえるでしょう。

2024.04.19