NEWS 新着情報

  • TOP
  • /
  • 新着情報
  • /
  • ー保温工事のラッキングとは?目的と使用する材料・施工手順を解説ー

ー保温工事のラッキングとは?目的と使用する材料・施工手順を解説ー

保温工事におけるラッキングとは、板金工事のことを指します。配管やダクトなどの設備からの熱放散を防ぐため行われる保温工事の際、薄い金属板を保温材に巻いて保護することです。

保温工事に携わる人以外はなかなか聞き馴染みのない「ラッキング」。しかし、工場や学校など身近な施設でラッキングが行われていることで、快適な室温が保たれたり省エネルギー対策になっていたりと、重要な役割を担っています。

本記事では、ラッキングの目的や材料・施工手順などについて解説します。

 

ラッキングとは

ラッキングとは、配管やダクトなどの設備に巻いた保温材を保護するように、薄い金属板を巻きつける工事のことです。保温板金工事や配管板金工事とも呼ばれます。

工場では配管・ダクト・ボイラー・タンクなど、一般家庭では水道管や給湯器などに施されている工事です。

 

ラッキングの目的

保温工事でラッキングを行うにはさまざまな目的があります。

 

配管・保温材の保護

保温工事で設置された保温材を保護することが、ラッキングの主な目的です。保温工事で使用される保温材のグラスウールやロックウールなどは、衝撃や紫外線に強くありません。そのため、板金で周りを保護することで、劣化や破損を防いでいるのです。

 

保温・保冷効果の向上

ラッキングを施すことで、保温や保冷の効果がさらに高まります。あくまでも保温材がその役割を担いますが、周りを金属で保護することで省エネによるコストダウンや配管の結露防止などがより可能になります。

 

美観の維持

配管は保温材がむき出しのままだとあまり見た目がよくありません。屋外で周りから見える部分にある配管にラッキングを行うと、美観を向上させることが可能です。

 

防音対策

配管を流れる物質によっては、騒音に悩まされる場合があります。周辺住民への配慮や工場内で作業するスタッフのストレス軽減のためにも、ラッキングは必要な工事です。

 

ラッキングカバーの形状

保温工事のラッキングで使用するラッキングカバーには、大きく分けて5つの種類があります。

  • ジャケット…まっすぐな直管部分に使用
  • エルボカバー…曲がっている部分に使用
  • フランジカバー…配管同士の接続部分(フランジ)に使用
  • バルブカバー…弁体部に使用
  • フレキカバー…フレキシブルホース部分に使用

配管は曲がりくねっていたりバルブが付いていたり、形状がさまざまです。その配管に合わせて適切なラッキングカバーを選択します。

 

ラッキングカバーの材質

ラッキングカバーによく使用されるのは以下の材質です。

  • カラー鉄板:亜鉛メッキ鋼板を塗装したもの
  • ガルバリウム鋼板:アルミニウムと亜鉛を使用した鋼板
  • ステンレス鋼板:鉄とクロムを混ぜた合金鋼の板材

カラー鉄板とガルバリウム鋼板は同価格帯ですが、ステンレス鋼板は約3倍の値段です。ステンレス鋼板は腐食しにくく、見た目も美しいという特徴があります。

そのため、屋外のラッキング工事に使用する場合は、ステンレス鋼板がおすすめです。雨風や温度の影響を受けにくく、景観に配慮できます。

 

ラッキングの施工手順

配管への保温工事におけるラッキングの施工手順は以下のとおりです。

  1. 保温材をカットする
  2. 保温材を設備に取り付ける
  3. 保温材をテープやフィルムで覆う
  4. ラッキングカバーを取り付ける
  5. ラッキングカバーの隙間をコーキングで埋める

それぞれの工程を詳しく見てみましょう。

 

1.保温材をカットする

取り付けたい設備の大きさや形状に合わせて、保温材をカッター・ナイフ・ハサミ・のこぎりなどでカットします。

 

2.保温材を設備に取り付ける

設備に保温材や保冷材を巻きつけて覆います。このとき、隙間なく巻きつけることが保温・保冷効果を発揮するために重要なポイントです。

 

3.保温材をテープやフィルムで覆う

保温・保冷材をテープ・フィルム・防水紙などでさらに覆います。アルミ付きグラスウールなど、あらかじめ別の材質で覆われた保温材を使用するのもおすすめです。

 

4.ラッキングカバーを取り付ける

ラッキングカバー、いわゆる板金で、保温材・保冷材も含めて設備を覆います。

 

5.ラッキングカバーの隙間をコーキング剤で埋める

コーキング剤とは、シリコンなどの素材で気密性や防水性を高めるために使用されるものです。ラッキングカバーの隙間を埋めることでより保温・保冷効果が高まります。

 

メンテナンスの必要性

ラッキング工事後にも、定期的なメンテナンスが必要です。ラッキングに使用する金属板は雨風や紫外線などの影響で劣化します。

耐食性のあるステンレス鋼板だったとしても、完全に劣化を防ぐことは困難です。もし、ラッキング材が劣化したまま放置した場合、内部の保温材や保冷材の劣化も早まります。

保温材まで劣化が進んでしまった場合、ラッキングだけでなく、保温材や配管の修繕まで行わなければならなくなり、コストや工事期間が必要になってしまいます。ラッキング材の劣化だけなら、その部分の交換で済むので、修繕費用を大幅に抑えることが可能です。

特に屋外にある配管は、自然環境の影響を強く受けるため、早めのメンテナンスを心がけましょう。

 

まとめ

保温工事におけるラッキングとは、保温材を薄い金属板で覆うことで、熱放散をより防ぐとともに、配管や保温材の劣化を防止する役割があります。ラッキングカバーに使用する形状や材質を適切に選択することは、保温材のカバーをより強固にし、保温効果の持続につながるので大切な工程です。

ラッキングは一度行ったら終わりではなく、定期的なメンテナンスを施すことで、長期的に保温効果を保ったり配管など設備の劣化を防げます。工場など製品を製造する施設では、特に安全性を確保するため、定期的なメンテナンスを心がけましょう。

2024.04.26